冬の寒さが身体の芯にまで迫り来るようなこの季節に、いつの日か肌身で実感した春の日の暖かさを恋しく感じるものです。しかし、人間の凄みを実感するのは、あらゆる気候に対して柔軟に身を任せて、ひたすらに冬が暮れば春の陽射しを想い、夏が来れば秋の澄み渡る青空のことを考えながら日々を生きていくことが出来る、ということです。つまり、本来人間は四季折々にあがなうことなく、その時々をある種楽しみながら生き抜くことが出来る生き物だったように思えるのです。
現代では、そんな冬の寒さや、夏の暑さをいかに避けて過ごすか、ということ、つまり合理的なことばかりが着目されがちのように思えます。
暮らしに関わるあらゆる物事は、いかにスイッチ一つでより多くの機能を果たすことが出来るか、という競争が繰り広げられ、私たちはその波に流されて生きているような気がします。「便利」ということだけが一人歩きをし、いつのまにか日常の場面一つひとつに目を向けることが無くなってしまいました。
だからこそ、ふとした時につけるロウソクの小さな灯りに思わず目を奪われてしまった時のような、自然のありのままの風景を大事にして、生きていきたいと思うのです。例えば、今日はコーヒーを淹れる時のお湯を電気ポットではなく、やかんで沸かしてみたり。そうした少しだけゆったりと時間の流れを作ってみましょう。
もし、そうした時間を、大切に想い、そうした景色に心を奪われることができたなら、私達の暮らしは豊かになっていくのではないでしょうか。
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